別れの日が分かっている切なさ。思いを秘めたままの別れが忘れられない 岸田智史「きみの朝」

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思い出の1曲とプロフィール

1956年生まれ 奈良県在住 女性 専業主婦
岸田智史「きみの朝」

曲にまつわる思い出

何度も何度も口ずさみ、どれだけ追いかけて行きたかったか・・・
何度心の中で歌い涙したことか・・・遠い思い出です。

「横たわる~♪ きみの顔に~朝の光が射している~♪」
「過去の重さを洗おうとして 辿り着いた深いねむりよ~」
「別れようとする魂と 出会おうとする魂と~・・・」


「モーニング モーニング きみの朝だよ~♪」

まだ年若い私たちの恋は実ることもなく、別れの日を迎えました。彼は大学を出てまだ2年目の新米社員、私は高校から病弱で半年の療養生活からやっと社会に出たばかりの二十歳でした。

同じ職場に居て日々顔を合わせての仕事、同じ年頃の私たちが親しくなるのに時間は要りませんでした。
長い入院生活から解き放たれた喜びと、北海道出身だという彼の話が面白くて、私は人の何倍もの幸せを感じていたかも知れません。

でも、この恋が成就しない事は最初からわかっている事でした。何故なら、私たちのいる場所は、一時期だけの限られた建設現場の事務所だったからです。瀬戸大橋を掛けるという壮大なプロジェクトの一つ、工期の決まった建設事務所だったのです。

一年半という短い先の見えるその日が、私たちの別れの日。彼は東京の本社へ帰ることが決まっていました。ただ見送る事しかできない私でした。

その一年半の間にやって来たクリスマス、私たちはみんなでパーティをしました。帰りに送ってくれた車の中での息の詰まるような緊張した空気・・・今でも思い出すことが出来ます。そっと抱き寄せてお互いのぬくもりを感じた瞬間でした。言葉はなくてもお互いの気持ちはしっかりと繋がっていました。

容赦なくやって来る別れの日・・・一日一日と近づいてくるその日・・・息が詰まって泣きたくなるような切なさの中に居ました・・・

でも、一流大学を出た優秀な技術者の彼を追っていく勇気は私には有りませんでした。彼もまた大学を出て間もないこれからの人、まだまだ勉強しなくてはならない人です。

お互い気持ちを胸に秘めたまま、何も言えずに別れの日を迎えました。静かな別れでした。言葉もなく、見つめあったまま・・・無言の意味を理解して送り出しました。

岸田智史さんの「君の朝」が流れる度に涙し、彼の幻影を追って苦しかった日々を思い出します。

近年、ネットの普及で彼が大手建設会社の役員であることを知りました。立派になって良かったねと、心の中で祝福しました。

彼は覚えているでしょうか・・・あの頃の淡い幼かった私たちの恋を・・・